環境省動物愛護部会第50回は、主に自治体意見について議論

しばらく環境省動物愛護部会傍聴の報告が滞っていて申し訳ありません。22日、動物愛護部会第50回を傍聴してきました。

今回は、前回・前々回と「動物愛護管理基本指針」(動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針)の改正のためと称して行われている(実体としては動物愛護法改正を意識した?)動物の愛護管理全体にわたる課題の検討内容について、自治体からの意見を求めた結果について公表があり、それについての議論がありました。

印象としては万遍なく話題が出たというところでしょうか。

自治体に対しては前回・前々回の資料2「動物愛護管理をめぐる主な課題への対応について」に関する説明会も行ったそうで、その結果、動物愛護行政を所管する121自治体のうち59自治体から意見の提出があったそうです。

その全貌は下記のPDFにまとめられていますので、ご参照ください。かなりボリュームがありますが、自治体のリアルな意見は非常に興味深いです。中には「?」と思うものもありますが、卓見と思われるものもあります。おそらくは、全体に意識高めの自治体が意見提出しているかとは思いますが。

この自治体意見の主なものを入れ込んだ「動物愛護管理をめぐる主な課題への対応について(案)」はこちらです。

赤字下線部が、今回加筆修正になった部分で、特定動物の部分などは特に、私たちのこれまでの要望と自治体の要望が合致していると感じました。

全体に、はっきり言って部会の委員は関連業界から最低一人ずつ入れている都合上、委員意見をただ単に羅列してしまうと動物と関わる業界に利する発言に偏ってしまう嫌いがありますが、自治体意見が入って、実際の苦情や起きているものごととのバランスが取れてきたような気がします。

また「動物の『ふれあい』利用についての考え方」の部分では下記のような自治体意見も。通報を重ねることはやはり大事だと感じました。

・利用者が展示業者の動物を触る、近距離で動物と写真撮影する等の行為は、利用者にとっては有意義だが動物にとってストレス。特に野生動物(人工繁殖を含む。)をふれあい展示に供する行為は虐待との苦情も寄せられる。「動物の適正な飼養管理方法に関する検討会」においては、飼養管理基準のあり方に加え、ふれあい展示に供することができる動物種を検討し、直接触れる展示において、犬猫や家畜以外の動物を供することを禁止してほしい。〔自治体〕
・移動動物園や触れ合い施設では、動物に過度なストレスがかかるうえ、幼齢動物を触れ合いに使用していたり、動物を管理する従業員数が少ないなど、十分な動物のケアが出来ておらず、何らかの規制をかけることが必要。〔自治体〕

しかし、動物実験については、おそらく自治体に獣医師がいることが悪く影響してか、かなり動物福祉の取り組みには否定的。仕事をふやしたくないのもあるかとは思いますが、自主規制が有効に機能しているなどといった意見は、逆に法律がなく現場に接しないから出てくる意見と感じざるを得ません。

今回、動物福祉の立場から、国が動物実験施設を把握する制度をという意見が出たことに対し、日本医師会から委員になっている松本吉郎氏が、それによって科学の進展が阻害されてはいけないという趣旨の意見を述べ、まだこんなことを言っているのかと呆れてしまいました。

抜き打ちで実験施設に国の動物福祉の査察官の立入りがあるような国のほうがずっと科学が発展しているという事実と整合性がありません。

国や自治体が監督制度を敷くことはOIEが綱領に定めているが日本が守っていない事項であり、こういった現状が、むしろ日本の科学力を低下させているのではとすら最近とみに感じます。

科学全体にお金がないのであって動物福祉だけの問題ではないのかもしれませんが、東大ですら実験用大動物の世話をする技術員を付けておらず研究者自ら毎日の給餌給水・ボロ掃除までやっていて挙句の果てに暑熱や闘争で激やせさせているのは、もう赤信号だと思うのですが。

参考リンク

過去2回の資料および議論については下記をご参照ください。

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