今年4月、デフォルト(債務不履行)に陥ったスリランカが、固有種のサルおよそ10万匹を中国へ輸出する計画を立てていると報じられました。
対象となったのはトクモンキー(トクマカク、Macaca sinica)というサルで、2008年に絶滅危惧種(EN)に分類され、ここ40年間に50%以上、数を減らしたとされています。人との軋轢があるため数が多いと思われてしまい、法的な保護はされていないようです。
しかし、いくら中国が広いと言っても、動物園がそこまで多くのサルを受け入れできるか?と考えると、動物実験や食用に回すためではないかという疑いがもたれていました。この問題は、動物実験が絡む野生動物の問題にしては珍しく、日本のワイドショーでも取り上げられていました。
経過など詳細は、こちらの記事に載せています。
昨年、カンボジアの実験用霊長類の施設からアメリカに多数のカニクイザルが密輸されてきたことがようやく立件され、施設の関係者だけではなく、香港の本社の経営者や、カンボジアの国の役人までアメリカで起訴されるに至りました。[blogcard u[…]
スリランカ当局は中国にマカクザルを輸出しないと表明
この計画が明らかになった後、スリランカの様々な団体や専門家と協議した結果、アジア動物連合(AfA)は、この輸出が実現しないよう声明を出しました。
このAfAによる声明にPEACEも賛同していましたが、このたびAfAから新たな公表がありました。すでに報道されているとおり、中国への輸出は行われないことになったそうです!
Earlier this week, we were overjoyed to get the news from ou…
スリランカの野生動物保護局が中国へのサルの輸出を行わないとしたとの知らせが、スリランカ野生動物自然保護協会(WNPS)からあったとのこと。WNPSの声明にはこうあります。
マヒンダ・アマラウィーラ(Mahinda Amaraweera)大臣が以前、スリランカから中国へトクモンキーを輸出する計画があると発言したことを受け、スリランカ野生生物自然保護協会を含む30の原告は、スリランカから中国へトクモンキーを輸出する決定を破棄するよう、控訴裁判所に令状を求める訴訟を起こした。
本日、この裁判に司法長官殿が出廷し、公開の法廷で、野生動物保護局から中国へのサル輸出の措置を取らないという説示を受けたと述べた。この件は7月6日の控訴裁の前に、裁判所に対してなされた上記の約束が記録される予定である。
私たちは、これは野生動物保護の進展における重要な成果であると考えます。
輸出計画は、スリランカにしか生息しないこのサルの種の存続にとって危機的なものでした。
計画が中止されたことを歓迎するとともに、サルが実験用に利用されることを多くの人々がよしとしなかったことに希望を見出します。
サルを輸出したがっていた企業の書類の社印が裏返しになっていることを在スリランカの中国領事館がTwitterで指摘していましたから(漢字文化圏の人間ならすぐわかること)、かなり怪しい案件でした。
【時事通信】中国へのサル輸出中止 活動家の提訴受け スリランカhttps://t.co/Tle29pDAWC
— PEACE 命の搾取ではなく尊厳を (@animalsPEACEnet) June 28, 2023