動物取扱責任者研修の回数等の規定の削除を求めたのは関西広域連合

1月14日締切の動物愛護法施行規則等へのパブリックコメント、締め切りが近づいているので、ぜひご意見をお送りください。

詳細はこちら

パブコメ意見のうち、動物取扱責任者研修について、補足で投稿します。

パブコメ案では、動物取扱責任者研修の回数等の規定が削除されている!

今回パブリックコメントにかかっている施行規則改正の素案の中で、法改正された範囲を大幅に超えて規制緩和となってしまっているのは、動物取扱責任者研修の回数や内容に関する規定の撤廃の部分です。

動物取扱責任者研修については、これまでも外部委託することはできたそうですが、そのことが明文化されていなかったため、今回の法改正で外部委託できることが明文化されました。これ自体、自治体の負担を減らすための法改正です。

そもそも、他自治体と合同で種別ごとに内容を分けた研修を開催するなどの工夫もしてよいそうですから、自治体の負担は軽くすることができる(できた)はずです。しかしなぜか、その上にさらに施行規則を改正し、年1回以上開催しなければならない決まりが削除される案が出され、現在パブリックコメントにかかっています。回数の決まり自体がなくなりますから、3年や5年に1回にする自治体が出てきて、また業規制の「厳しさ」に関する自治体間格差が広がるでしょう。

しかも、法律では研修の内容は環境省令(=施行規則)で定めることになっているにもかかわらず、今回のパブコメ案では該当部分が削除されることになり、国としては、なんと何も内容を決めないことになります。自治体がやりたいものをやればよいということしか指定されません。

こんなことがあり得るのでしょうか。国の法律で定められた登録制なのに、内容を自治体まかせにするとは驚愕です。そもそも、動物愛護法など関係法令について指導するという最低限必要な、基本的内容すら削除されてしまうとは、信じられない改正です。

実のところ、現在各自治体が行っている動物取扱責任者研修の内容自体が、かなり法令の意図するところからズレており、業者に法令を守らせるという観点に欠けているので、回数を減らしてもいいのではないかという話になってしまうのでしょう。研修は、動物の飼い主が好きそうな「お話」「ご講演」を聞かせる場ではありません。自治体から出ている要望について耳にするにつけ、サービスと勘違いしている自治体が相当数あるように感じます。

さらに今後、数値基準等具体的な基準ができ、劣悪業者にそれらの遵守をさせるよう改善指導するのか、それとも登録取消しによる廃業をさせるのかという大事な時期を迎えます。他の従業員に法律を教える役目を担う動物取扱責任者に対する研修を、今この時期に緩めるのは理解ができません。

広告の表示義務や、販売する動物ごとの表示義務のような、違反が一目見て判定できる事柄についても、違反のほうが多いのではないかくらいの現状です。多くの業者が違反している項目については、何度でも繰り返し、繰り返し、その重要性を教えるべきです。業界に問題があるからこそできた規制です。遵守まで何十年かかるのか?と思います。

まして、毎年の動向(法令・ガイドライン類等の制改定だけでなく、環境省等から出される通知等の徹底や、違反・行政処分等の事例の周知、感染症・災害対策・科学的知見・国際動向などの時事的話題等)について教える場はこれしかありません。

さらに外部委託が進むのに研修の内容が何でもいいとなってしまっては、業界に都合のいい解釈を広める場になったり、楽しませればいいという間違った観点でつくられた研修が行われてしまうかもしれません。

元凶は、関西広域連合

今回の削除は、関西広域連合という、地方自治を推し進めるための自治体の連合体が国に出した要望書「平成29年度 国の予算編成等に対する提案」に、「動物取扱責任者研修の見直し(研修回数等の義務付けの廃止等)」が含まれていたことが発端だそうです。

これに対し、2016年12月20日に閣議決定が行われており、以下のように定められていました。

内閣府:平成28年の地方からの提案等に関する対応方針

(5)動物の愛護及び管理に関する法律(昭48法105)
動物取扱責任者研修(施行規則10条)については、より効果的かつ効率的な実施のため、地方公共団体の意向調査を行った上で、平成 29 年度中に全国的に周知すべき内容に係る研修資料を作成する。あわせて、動物取扱業者への監視指導の実態把握を行った上で、法令上義務付けている要件を含めた研修内容の在り方について検討し、原則として平成31年度中に結論を得る。その結果に基づいて必要な措置を講ずる。

やはり、関西広域連合の要望をそのまま飲んだわけではなく、「動物取扱業者への監視指導の実態把握を行った上で」とあります。年1回、必ず全ての事業者に対して立入検査をすることができるのであれば回数は減らせるのかもしれませんが、年1回どころか、登録時の立入検査すら、法律で義務付けができないのが実情です。(今回の法改正でも義務付けを求めましたが、現状、他の業のように施設設計の時点で図面を提出させ、それに合致するかを見ているわけでもない、動物が施設に入ってから見るべきかもしれないが、それでは遅いかもしれない、営業開始前のいずれの時点で立ち入るべきなのかはっきりしない等の理由で、法制度上、できないとのことでした。登録までの統一のスキームを決める必要があるようです。)

現状、不適切飼養業者や違反業者への指導を個別に行わない言い訳として「研修があるから」「研修で指導するから」という形で研修が使われているのに、これ以上更に緩めてしまっては、一体どうやって取扱業者の適正化を図るのか?と思います。

関西広域連合を構成する自治体は、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、徳島県、京都市、大阪市、堺市、神戸市(平成27年12月4日現在)です。

堀井動物園の劣悪多頭飼育を長年放置してきた滋賀県をはじめとして、これらの自治体が業者の適正化を図れているようにはとても思えません。

動物福祉を軽んじているから、このような要望が出てくるのではないでしょうか。

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