動物愛護法で定められている特定動物の規制については、交雑種が対象外となっていることが問題になっています。
以前、ほとんどオオカミに近いオオカミ犬(もしくは表向きオオカミ犬と偽って流通・飼育されているオオカミ)が犬として飼育されている問題について取り上げましたが、これは、特定動物の規制においては犬として逃れられているだけです。
動物検疫については、以前ご報告した通りのルールですが、CITES(ワシントン条約)では、交雑種も規制対象です。
経済産業省に改めて確認しましたが、オオカミ(Canis lupus、CITES付属書IかIIには必ず該当)とイエイヌ(Canis lupus familiaris、CITES規制対象外)の交雑種については、4代前までに1匹でもオオカミの血が入っていればオオカミ扱いとなり、CITES上の輸入手続きを正式に踏まなければ輸入できません。
つまり、オオカミと掛け合わせることで99.9%オオカミにした「犬」を犬として輸入することができるなどというのは、虚言です。オオカミ犬を犬として輸入するなら、純粋オオカミの血は5代前以前に入った場合に限る。
CITESデータベースによれば、商業目的でのオオカミの日本への輸入は、2007年にカナダから3頭入ってきている記録が最後。
アメリカからは1989年の1頭が最後。
条件に合わない「犬」がその後に入って来ているのであれば、犬と偽った密輸ということになります。
CITES付属書ではどうなっているか
オオカミ(Canis lupus)[Common Wolf; Gray Wolf; Timber Wolf; Wolf]
付属書I:ブータン、インド、ネパール及びパキスタンの個体群に限る。飼育された標本(Canis lupus familiaris 注:イエイヌのこと)及びディンゴ(Canis lupus dingo)を除く。他のすべての個体群は附属書IIに掲げる。
付属書II:附属書Iに掲げるブータン、インド、ネパール及びパキスタンの個体群を除く。飼育された標本(Canis lupus familiaris)及びディンゴ(Canis lupus dingo)を除く。
輸入報告数一覧
※日本の2017年までのオオカミ(オオカミ犬含む)の輸入の実績一覧。輸出国側と報告が一致していないレコードが結構ありますが、輸入国側の記録が正式な日本政府の統計になります。
※動物園用に輸入された個体を商用に流通させることも違反です。