パフアダー 猛毒 ヘビ 蛇 へび

2020年富山救急医療学会学術集会で猛毒のヘビ、パフアダーの咬傷事故治療例の報告

飼育下で幽閉された動物たちによる対人事故について投稿が続いていますが、もう少し続けたいと思います。

2020年、富山救急医療学会の第38回学術集会で「海外原産の毒ヘビ咬傷の治療経験」との報告が富山大学附属病院災害救命センターからなされています。ヘビの種類は、大阪で無許可飼育事件が起きたこともある猛毒のヘビ、パフアダー。

アフリカに生息する、強力な毒を持つヘビで、日本の一般家庭で飼われていること自体が驚愕ですが、この事故は環境省が毎年発行している「動物愛護管理行政事務提要」でも報告されています。

事故発生は2020年富山県内、事故発生場所は飼い主自宅、「給餌のため、スライド式ドアを素手で開けようとしたところ咬まれたもの」とされています。

富山大学附属病院災害救命センターの報告(学会抄録)によれば、咬まれたのは20代の男性。

飼育していたパフアダーに左手背をかまれて受傷し、救急要請。「本邦においてパフアダー毒に対する抗血清は存在せず、日本国内における治療報告も検索した範囲で認められなかったという状況下で治療が開始されたことが報告されています。

経過を抜粋すると以下の通りで、死亡こそしていませんが、相当苦しかったのではないでしょうか。

救急隊接触時には腫脹は軽度であったが、救急外来到着時には手背が高度に腫脹、前腕まで拡大傾向。
⇒経過中に凝固異常および高度の浮腫が出現。
⇒呼吸不全を一時呈したものの、第12病日には病状改善し一般病棟に転出。
⇒第14病日に受傷部位の軽度運動障害が残存したものの臓器障害を残すことなく独歩退院。
⇒(報告時点で)上肢の運動機能改善のためにリハビリ通院中

この報告があった時点で特定動物であるパフアダーは既に愛玩目的の飼育禁止となっていましたが、規制開始時点で飼育許可が下りていた場合は飼育が継続されているため、今後もこのような事故は起きうると報告では警告がなされています。

遠く生息地から切り離されて、日本まで連れてこられ、小さなケースで飼育されるヘビたちは被害者です。生きものたちの本来の生き方を尊重し、こうした野生動物を飼育対象として消費しない社会であれば、起きなかった事故です。

参考文献

富山救急医療学会第38回学術集会抄録集「海外原産の毒ヘビ咬傷の治療経験
川岸 利臣, 若杉 雅浩, 波多野 智哉, 澁谷 忠希, 桑野 博之
2020 年 38 巻 1 号 p. 12-
DOI https://doi.org/10.32266/toyamaqq.38.1_12

環境省自然環境局総務課動物愛護管理室「動物愛護管理行政事務提要(令和3年度)」
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/files/r03/2_3_3.pdf

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