2019年改正動物愛護法解説:第二種動物取扱業については、改正は一部にとどまりました
準用規定(第二十四条の四):
第二種動物取扱業の犬猫譲渡団体の施設に帳簿の備え付け義務が定められました
※下線が改正部分
(準用規定)
第二十四条の四 (中略)
2 前項に規定するもののほか、犬猫等の譲渡しを業として行う第二種動物取扱業者については、第二十一条の五第一項の規定を準用する。この場合において、同項中「所有し、又は占有する」とあるのは「所有する」と、「所有し、若しくは占有した」とあるのは「所有した」と、「販売若しくは引渡し」とあるのは「譲渡し」と読み替えるものとする。
「第二十一条の五第一項の規定」とは、帳簿の備付け義務に関する規定です
(動物に関する帳簿の備付け等)
第二十一条の五 第一種動物取扱業者のうち動物の販売、貸出し、展示その他政令で定める取扱いを業として営む者(次項において「動物販売業者等」という。)は、環境省令で定めるところにより、帳簿を備え、その所有し、又は占有する動物について、その所有し、若しくは占有した日、その販売若しくは引渡しをした日又は死亡した日その他の環境省令で定める事項を記載し、これを保存しなければならない。
第二種動物取扱業については、あまり検討に時間は割かれませんでしたが、第一種に含めてもよいのではないかとの議論もありました。しかし、今回の改正では、犬猫等の譲渡しを業として行う第二種動物取扱業者に対して、飼養する動物の増減等について帳簿を付けることが義務となるにとどまりました。
3団体としては、逐条案の段階では、実験・畜産に係る非営利の飼育施設(公営の研究所など)を含めることと、届出事項にスタッフ数を含めること程度しか提案をしなかったのですが、超党派議連で検討がなされた際には、約2,000匹(改正法成立時点で約2,800匹)に及ぶ犬の収容をしながらも、不妊去勢手術を行っておらず、延々と頭数をふやし続けている団体の事例について経緯を説明しました。
この事例ではその後、愛護団体のネットワークが、犬が闘争死を繰り返す状況を放置したことについて動物虐待罪での告発を行うという事態になっていますが、そもそもの原因には、団体に現在何頭いるのか把握していないのに、自治体が次々と犬を団体譲渡し続けている問題がありました。
第二種の不適正飼養の問題については、今後議論を深めなければならないと思います(附則の下記部分参照)。
動物の愛護及び管理に関する法律 附則
(検討)
第八条(中略)
3 前二項に定めるもののほか、国は、動物取扱業者による動物の飼養又は保管の状況を勘案し、動物取扱業者についての規制の在り方全般について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
付帯決議では…
衆参両院の決議/附帯決議には、以下のように書かれています。
2019年改正法の概要 目次
● 第一種動物取扱業による適正飼養等の促進等
- 登録拒否事由の追加により欠格要件が強化されました
- 環境省令で定める遵守基準を具体的に明示する条項が入りました
(飼養施設の構造・規模、環境の管理、繁殖の方法等) - 販売場所が事業所に限定されます
- 生後56日(8週)を経過しない犬猫の販売規制が実現するも、例外措置が附則に
- 帳簿の備付けと報告の義務が犬猫等販売業から拡大
- 動物取扱責任者の条件が追加されました
- 勧告・命令違反の業者の公表と、期限についての条項が新設されました
- 廃業・登録取消後に立入検査や勧告等を行うことができる規定が新設されました
参考:2019年改正動物愛護法に入らなかったこと<動物取扱業>
● 動物の適正飼養のための規制の強化
● 都道府県等の措置等の拡充
- 動物愛護管理センターの業務を規定、自治体への財政上の措置も新設
- 動物愛護管理担当職員の配置は義務になり、市町村にも設置努力規定
- 動物愛護推進員は委嘱が努力義務に
- 所有者不明の犬猫の引取りを拒否できる場合等を規定
● その他