国会質疑補足:ノネコ捕獲事業の「わな」の数について環境省に質問しました

追加・訂正情報(2023.8.12):この記事を書いた時点では、奄美の野外の猫(のうちノネコとされてしまった分)の捕獲が環境省の許可のもと行われているようにミスリードされてしまいましたが、その後、国立公園内(世界自然遺産登録区域+その環境地帯とほぼ被る)は環境省の捕獲許可、それ以外の地域は鹿児島県の捕獲許可で行われていることが判明しました。このことは「奄美大島におけるノネコ管理計画」にも書かれていません。
2023年8月時点で令和元年までの鳥獣統計が公表されており、「ノネコ」のほとんどが鹿児島県の許可で捕獲されていることがわかりました。つまり、世界自然遺産登録区域以外での捕獲がこの計画のメインです。(詳細は別途ブログに掲載予定)

小宮山泰子議員の国会質疑で、文科省が初めて実験用ニホンザル繁殖委託先企業がどこか認める!の記事で、奄美大島のノネコ対策と実験用ニホンザルの繁殖事業の関連についての国会質疑についてご紹介しました。

この国会質疑の中で、環境省がノネコ生け捕り用のわなの数を「約三百個」、作業員の数を「六名」と答えていることが引っ掛かり、当時関連部局に電話で問い合わせもしたのですが、よくわからなかったので、遅くなりましたが環境省奄美野生生物保護センターに質問を送りました。

というのも、狩猟の場合は、設置できるわなの数は1人30個までに規制されているからです。これは、1日で見回りができる数の上限がこれくらいまでだろうということで決められている数字です。

奄美大島で使われている300個を6で割ると単純に1人50個であり、大幅にこの数値を超えています。

奄美の捕獲許可は狩猟ではないため、30という規制がかかってこないことは電話で教わりましたが、では駆除でもないし、どういう許可で行われているのか、聞いても明瞭ではなかったため、質問の形にしました。答えとしては、鳥獣保護法第九条第一項の、鳥獣保護区内で鳥獣の捕獲をするときの環境省許可を受けているものであるとのことで(⇒実際には異なりました。ページ上部の「追加・訂正情報」を参照)、1人30個の規制はかからないということでした。

しかし、1日当たりに見回れる数は、目的が何であろうと、そう大きくは違わないはずです。なぜ狩猟では数値規制をひいているのかというと、狩猟はあくまで趣味(ゲームハンティング)を目的としたものであるため、規制の考え方は根本的に違うそうで、より厳しくなっているようです。

奄美ではわな300個がフル稼働というわけでもないそうですが、回答は以下の通りでした。

質問2は、あまりに暑いので、猛暑対策についても聞いたものです。

環境省奄美野生生物保護センター回答

回答1
環境省におけるノネコの捕獲は狩猟ではなく、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(以下、法という。)第九条第一項の許可を得て実施しております。
同時に三十一以上のわなを使用する方法は、法第十二条第一項第三号に基づき禁止されていますが、法第十二条第五項により、法第九条第一項の許可を受けたもの又は従事者は、上記の制限にかかわらず当該許可にかかる捕獲等をすることができることとされています。
したがって、本事業は法令上、三十個までの制限を受けるものではありません。日によっては作業者一人当たり三十個を超えて担当することもありますが、稼働中の捕獲わなの点検は一日一回行うようにしており、捕獲動物が衰弱または死ぬことのないようできる限りの配慮をしております。

回答2
環境省における捕獲わな内の温度調査は実施しておりませんが、直射日光があたらないようにする、風通りを確保する等捕獲作業には留意しています。また、大雨や嵐など著しい悪天の際には、捕獲わなの稼働を停止するなどの措置を講じることとしています。今後異常高温に備えた対策について検討し、引き続き捕獲動物が衰弱しないような捕獲作業に努めます。

ほか、ニホンザルの実験用繁殖の会社を辞めた研究員は、現在は、ノネコ事業を請け負っている奄美自然環境センター(自然研の子会社)に移ったとのことです。

ニホンザルの飼育が今後どうなるのかについては、まだ決まっていないようです。

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