明確なご回答をいただけていない事例についてもアップしていきます。
今年5月18~19日に岡山県玉野市の宇野港で行われた「第23回たまの・港フェスティバル」にて、犬猫の移動販売が実施されました。風が強い日であったのに屋外で展示していた、サランラップをケージにグルグルにまいていた、死にかけていそうな猫がいた等の情報提供がありました。主催は「たまの港フェスティバル実行委員会」で、連絡先は玉野商工会議所と玉野市観光協会です。
2日以上の開催ですから、本来であれば現地での第一種動物取扱業の登録が必要ですが、岡山県の動物愛護センターによると開催地での登録はないとのことで、違法状態で開催されていたことを確認しました。
県センターからは、出店した2業者の本拠地である山梨県へ指導を依頼したそうですが、2業者とも問題を見聞きすることが多く、日ごろから苦情が多いと思われる業者です。
そもそも移動販売は、免疫力・体力の低い子犬子猫を短期間の販売のためにわざわざ遠方から輸送し、終わればまた別の場所へと運び、大きなストレスをかける販売形態です。格安で売りたたくために非常に安易に買わせようとし、結果として飼育放棄につながる可能性もあり、問題視されています。
劣悪環境での繁殖・飼育に由来する感染症(パルボなど)を各地にばらまくため獣医師らも問題視してきましたし、何より遠方の業者のためアフターケアなどもできず、購入者にとっても(安い以外は?)いいことはありません。法的禁止を求める声も大きいです。
施設も簡易な状態で開催されますが、特にこのフェスティバルでの出店は野外開催でもあり、天候の問題も起きました。
次回以降、動物生体の移動販売を実施しないよう要望しましたが、メールに対して回答はいただいていません。ただ、電話では、このフェスティバルでは今回初めて犬猫生体販売を行ったとのことで、内部で検討するとは言っていました。
2年後に施行される予定の業者基準で、実質移動販売のような形態での販売はできないようにすることを環境省に求めていきましょう。
補足とその後の動向(2020年9月追記)
1日だけの販売でも登録が必要になりました
この玉野での移動販売のとき、まだ2019年に改正された動物愛護法が施行されていませんでした。
旧法の運用では、概ね24時間を超えるイベントについては開催地での登録が必要となっていました。このイベントは2日間ですから、業登録は必要です。しかし、このときの移動販売では、登録を回避するため、2つの事業者名を連名の形で使っていたものと思われます。2日間のうち、1日目はこちらの業者が主催、2日目はもう一方の業者が主催だと主張することで、登録を逃れようとしたのでしょう。(似たようなことが西宮市のコーナンの展示イベントでも行われました。)
実態としては2業者が2日間とも現地にいて開催していたわけですから、2業者がそれぞれ現地で登録すべきですが、上記のような言い訳を用意していたものと推測されます。
もちろん、彼らは、自治体にそのような形態が許されるか確認した上で開催していたわけではありません。自治体は開催を知らなかったのですから。
ちなみに、2020年6月1日に改正動物愛護法が施行されてからは、業登録した事業所での販売が義務付けられましたので、1日だけの販売でも登録をしなければならなくなりました。
輸送後2日間以上の状態観察が義務付けられます
環境省へ移動販売をなくすよう意見を送るお願いする記載をしていましたが、2021年6月1日から施行される新しい業者基準では、犬猫については、輸送後2日間以上動物の状態を観察することが義務付けられることになりました。万全の対策ではないですが、一定程度移動販売を食い止める効果はあるものと思われます。詳しくはこちらの投稿をご覧ください。